「Spring Bootとは何?」
「EclipseでSpring Bootを利用する手順が知りたい」
Webアプリ開発をサポートするフレームワーク(スターターセット)は多くありますが、なぜSpring Bootが有名なのか知りたい人もいるのではないでしょうか。
国際的な調査である『Jakarta EE Developer Survey』によると、Spring Bootの使用率は2024年で63%と報告されているほどです。
つまり、Spring BootはWebアプリ開発でスタンダードなシステムとされています。
本記事では、JavaでWebアプリ開発の経験があるみずがめが、以下の内容を紹介します。
- Spring Bootの特徴
- Eclipseで使うべき理由
- Spring Bootの使い方3STEP
本記事を最後まで読むことで、Spring Bootを実践的な形で習得できます。
記事後半では、オリジナルアプリの制作方法をソースコードと一緒に解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
Spring BootをEclipseで使う前に知っておくべきこと
Spring BootをEclipseに設定する前に、知っておくべきことが3つあります。
- Webアプリ特化のフレームワーク
- 使いやすく改良されたシステム
- ファイルの役割を明確に分けられる
本記事では、Webアプリを開発するのに必要な基礎知識も解説しているため、ぜひご活用ください。
1.Webアプリ特化のフレームワーク
Spring BootはWebアプリ製作のハードルを下げてくれるフレームワーク(スターターセット)です。
WebアプリはMVCといわれる、3つのファイルが連動したシステムで構成されており、役割は以下のとおりです。
ファイル | ファイルの役割 |
---|---|
モデル(Model) | データを処理する |
ビュー(View) | 表示画面の内容を決める |
コントローラー(Controller) | ユーザーからの命令に合わせて必要なファイルを呼び出しデータのやり取りをする |
ファイルを役割ごとに分けることで、エラーが出たとき修正する箇所を特定しやすくなり、開発がスムーズになるのです。
しかし、初心者がファイル連携を意識しながら開発するのは難易度が高いため、通常はフレームワークのサポート機能を活用してMVCを作成します。
Webアプリに特化したフレームワークの中でも、Spring Bootは使いやすさを追求したもので、プロジェクト立ち上げ時に簡単なMVC設定をすれば開発が可能です。
つまり、Spring BootはWebアプリ開発を強力にサポートするフレームワークといえます。
2.使いやすく改良されたシステム
Spring Bootは初心者でも使いこなすことができるシステムです。
2004年にSpring Frameworkという「Webアプリの土台部分を簡単に開発できるシステム」がリリースされました。
しかし、使用できる機能が多く、必要なものを選択できない初心者にはオーバースペックでした。
また、作成したファイル同士の調節を手動でする必要があったため、使いこなすのに時間がかかります。
しかし、Spring Bootはあらかじめ必要な機能が設定されており、初期設定のままでもWebアプリの開発が可能です。
さらに、ファイル同士の調節をほぼ自動で処理してくれるフレームワークで、初期設定さえ済ませれば、初心者でもWebアプリの土台が作成できます。
そのため、Spring Bootは初心者向けのフレームワークなのです。
3.ファイルの役割を明確に分けられる
Spring Bootにはテンプレートエンジンと呼ばれる、ファイルの役割をはっきり区別する機能があります。
WebアプリはMVCという3つのファイルが情報のやり取りをして機能しているため、変化するデータと、変化しないデータが混在します。
ショッピングサイトの合計金額は変化するデータで、「円」という単位部分は変化しないデータです
実際のアプリ開発では、ホームページの一部分に変化するデータを表示させるには、ビュー(View)ファイルの中に、モデル(Model)にあるべきコードを書き込む必要があります。
ファイルに役割が異なるコードがあるため、読みにくくなるのです。
しかし、テンプレートエンジンを活用すれば、ビュー(View)ファイルの指定箇所に、モデル(Model)から送られてきたデータを後から組み込めます。
ファイルを別々に管理しながら必要な部分だけ連動できるため、誰が見てもわかりやすいWebアプリが作成できます。
Spring BootをEclipseで使うのは簡単
Spring BootをEclipseで利用するのは簡単です。
プロジェクト立ち上げ時に必要なシステムが自動で読み込まれるため、ソフトウェアの設定が苦手でもスムーズに活用できます。
初心者におすすめのEclipseシリーズは「Pleiades All in One」です。Webアプリ開発を強力にサポートする機能がデフォルトで実装されており、ほぼ初期設定が不要です。
『【2025年版】Java開発環境を初心者向けに解説|Eclipseの入れ方を画像付きで紹介』の記事では、Eclipseの正しいインストール方法をスクショ付きで解説しているため、ぜひご活用ください。
Spring BootをEclipseで使う方法3STEP
Spring BootをEclipseで使う方法は簡単で、10分程度で完了します。
以下のステップで使用できる状態にしてください。
- プロジェクト立ち上げ
- 初回起動
- コントローラー作成
コントローラー作成は少し複雑なファイル操作が必要ですが、画像をよく見れば初心者でも問題なくできます。
1.プロジェクト立ち上げ
Eclipseを立ち上げてください。

上画面と同じ画面が出ていることを確認してください。

左上にある「ファイル(F)」をクリックします。

「新規(N)」にマウスカーソルを合わせましょう。

マウスポインターを合わせた右側に作成するファイルの種類を選択するメニュー画面が出てきます。「Spring スターター・プロジェクト(Spring Initializr)」をクリックします。

上画面のように、ポップアップ画面が表示されます。

上画面にある赤枠で囲った5つの項目を変更します。まず名前を変えてみましょう。名前は開発しているプロジェクト名を指します。

名前の部分を「demo」を自分が作りたいアプリの名前に変えてください。みずがめは「CafeOrder」に変えました。
連動して成果物も変わっていることを確認します。
成果物とは、ビルド(ソースコードを変換すること)して生成されるアプリ名やファイルを指します。

タイプ:を「Maven」に変更します。Mavenとは、ビルドというソースコード(開発者が書いているコード)を実際のアプリに変換するためのシステムです。
ビルドを担当するシステムには変換に必要な機能を自動でインターネットから集めてくれる機能があり、Spring Bootに必要な設定を担ってくれます。

説明はプロジェクトがどんな役割を果たすのかメモ書きする部分です。実際のコードに関係せず、空欄の状態でも問題ありませんが、チーム開発では使うことがあるため変更しておきましょう。
みずがめは「Demo project for Spring Boot」から「A simple coffee order management app」に変えました。

パッケージは、関係しているファイルを管理しやすいようにまとめたものです。メインのファイルを保存する場所を指定します。
ここでは「com.example.demo」から「com.example.cafeorder」に変更しました。設定出来たら「次へ(N)」をクリックします。

Webアプリを開発するのに便利な機能が選択できます。「Spring Boot Dev Tools」「Spring Web」「Lombok」にチェックが入っているのを確認してください。
「Spring Boot Dev Tools」はコードを変更したとき、再読み込みなしで反映してくれるシステムです。
「Spring Web」は自分のパソコンで作ったアプリを起動するのに必要なものです。
「Lombok」はJavaのコードを自動で生み出してくれる機能があります。チェックが入っていることを確認したら「次へ(N)」をクリックしてください。

すべての設定が済んだSpring Bootのファイルをダウンロードします。「完了(F)」をクリックすればプロジェクトが作られます。

画面左上に「CafeOrder」というプロジェクト名が追加されましたが、ファイルが重く完全に読み込まれるのには時間がかかります。そのまま待機してください。

5~10秒ほど待つと、[boot][devtools]が追加されたことを確認してください。

「CafeOrder[boot][devtools]」をクリックし、メインファイルがあるところまで進んでいきます。

「src/main/java」をクリックして中身を展開します。

「com.example.cafeorder」というパッケージが見つかるはずです。これをクリックしてください。

「CafeOrderApplication.java」というメインファイルが見つかったらクリックしてください。

画面中央のスペースに自動生成されたコードのひな型が確認できます。
以下は生成されているコードです。
package com.example.cafeorder;
import org.springframework.boot.SpringApplication;
@SpringBootApplication
public class CafeOrderApplication {
public static void main(String[] args) {
SpringApplication.run(CafeOrderApplication.class, args);
}
}
もし、生成されていない場合は上記のコードを貼り付けて進めてください。
2.初回起動
ファイルが生成されたら、実行して動作を確認します。

画面の中央上部にある「▷」ボタンをクリックして実行してください。

実行方法の確認画面が表示されます。「Spring Boot アプリケーション」を選択した状態で「OK」をクリックします。

初めて実行する場合は、上画像のような画面が表示されます。
Eclipseの実行機能がWindowsのファイヤーウォールに妨害されているため、許可するか問われている場面です。
自宅や会社で開発しているなら「プライベートネットワーク(ホームネットワークや社内ネットワークなど)(R)」を選択しましょう。

実行している画面です。そのまま待機してください。

画面の下側に「Spring」という字が出てきたらうまくいっています。ブラウザを立ち上げて確認してください。

みずがめはGoogle Chromeを使って進めます。

検索バーに「http://localhost:8080」と入力してください。

上記のエラー画面が出てくるはずです。「Whitelabel Error Page」は、Webアプリに必要なコントローラーファイルをまだ作っていないときに発生します。
作ったアプリ自体は正常に起動している証拠です。
3.コントローラー作成
コントローラーファイルを追加してWebアプリが起動できるようにします。

Webアプリ制作画面に戻りましょう。

「com.example.cafeorder」にマウスカーソルを合わせて右クリックしてください。

「新規(N)」にカーソルを合わせて右に表示された「パッケージ」をクリックします。

「package-info.javaを作成する(C)」にチェックを入れて「完了(F)」をクリックします。

コントローラーファイルが自動で生成されます。もし自動で生成されていない場合は、以下のコードを貼り付けて進めてください。
package com.example.cafeorder.controller;
import org.springframework.web.bind.annotation.GetMapping;
import org.springframework.web.bind.annotation.RestController;
@RestController
public class CafeOrderController {
@GetMapping("/")
public String hello() {
return "Hello, CafeOrder!";
}
}
このままでは、7行目の「CafeOrderController」と、ファイル名「package-info.java」が一致せず、エラーになります。

赤い波線が表示されている部分にマウスカーソルを合わせると、ファイル名を変更できます。

表示されたポップアップメニューの青文字で書かれた「Rename file to ‘CafeOrderController.java」をクリックしてください。

名前が変わり、正常に起動できる状態になります。

画面左側でもファイル名が変更されたことを確認できます。

ファイル名の変更ができたら、再度Googleブラウザのアドレスバーに「http://localhost:8080」を入力しましょう。

画面に「Welcome to Cafe Order!」と表示されれば成功です。Webアプリの骨格が完成しました。
これからビューやモデルを追加していけばオリジナルアプリになります。ぜひほかのファイル作成にチャレンジしてみてください。
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