「ECサイトの担当になってしまったけど、どんな仕事なのだろうか?」
「ネットショップは経験ないけどできるだろうか?」
「うまく業務をこなすにはどこがポイントなのだろう?」
このようにECサイト運営の担当になった人たちには不安や疑問があるのではないでしょうか。
ECサイト運営は、ほかのIT分野と同じく新しいサービスです。未経験者が部署異動で担当することも少なくありません。そこで今回は業務内容が知りたい人に向けた記事を提供します。
- ECサイト運営の基本情報
- 業務の役割2つ
- 業務の種類10つ
- 費用
- 必要なスキル4つ
- うまくいくコツ5つ
この記事を読めば、ECサイト運営ではどんな仕事があるのか理解できるでしょう。記事後半では、利益拡大させるコツを紹介しています。
最後まで読めば、ECサイトでつまずくことはなくなります。
ECサイト運営担当になった人は、ぜひ参考にしてみてください。
ECサイト運営とは?ネット販売を担当する人
ECサイトの運営はネット販売すべての業務を担当します。
カスタマーサポート以外にも多くの作業がありノウハウの更新も必要なため、かなり忙しい仕事です。
運営業務は目的によって以下の2つに分けられます。
- フロント業務
- バックエンド業務
それぞれ詳しく解説します。
タイプ①フロント業務
顧客が商品購入するまでをフロント業務と区分します。
フロント業務の目的は商品の魅力を伝えることです。
フロント業務は以下の4つが当てはまります。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- サイト作成
- 集客
サイト作成はバックエンド業務の側面もあります。
フロント業務のどこかでつまずくと以降の業務がすべてダメになります。フロント業務はとても重要な業務です。
タイプ②バックエンド業務
顧客が購入してからアフターサービスまでをバックエンド業務と区分します。
バックエンド業務は顧客の満足度向上が目的です。システムの改善はECサイトの成長を支える要素でもあります。
バックエンド業務には以下の6つが当てはまります。
- 商品登録
- 受注管理
- 在庫管理
- 包装・配送
- アフターフォロー
- 分析・解析
バックエンド業務はタスクが多くなるため、最もヒューマンエラーが起こりやすい業務です。
販売規模が大きくなったらアウトソーシングをおすすめします。
ECサイト運営の主な業務10つ
ECサイト運営業務は次の10つです。
- 商品企画
- 仕入れ・製造
- サイト作成
- 商品登録(ささげ作業)
- 集客
- 受注管理
- 在庫管理
- 包装・配送
- アフターフォロー
- 分析・解析
ひとつずつ解説していきます。
業務①商品企画
ネット上で売る商品を企画します。企画した商品は商品企画書にするのが一般的です。
商品企画は以下の手順で作成します。
- ニーズを調査
- ニーズを満たす商品案
- 仕入れ先に相談し商品を作成するために必要な経費の割り出し
- 利益のプラン作成
- 1年から3年のプラン作成
- 上記を盛り込んで商品企画書にまとめる
できれば試作品を作成し、改善点を洗い出して下さい。コスト削減できるかもしれません。
SNS集客も商品が決まってから内容を決めましょう。
売り上げは商品企画ですべて決まるといっても過言ではありません。
このフェーズは時間をかけ、有識者からアドバイスをもらいながら進めるのが理想的です。
業務②仕入れ・製造
商品を製造または販売するものを仕入れます。
在庫抱えと機会損失を防ぐため、企画書通りにおこないます。
仕入れた段階で、個数があっているか不良品はないか確認してください。
大量に仕入れるときは割引交渉しましょう。体感では1割交渉なら応じてくれるところが多いです。
何千~何万と商品が多いときは交渉次第で2割くらいまで値下げしてくれることもあります。
業務③サイト作成
作成するECサイトのデザインはシンプルにしましょう。
ユーザーはサイトの使いやすさで選びます。デザインに凝っても売り上げはあまり変わりません。
デザインで重要なポイントは以下の4つです。
- 商品が見やすいかandきれいか
- スペックがわかりやすいか
- 適切な位置に購入導線があるか
- 口コミやレビューがわかりやすいところにあるか
顧客はネット上の情報だけで購入するか決めます。デザインは「シンプル」「わかりやすい」「評判がわかる」ようデザインしてみてください。ライバルサイトをみれば共通するところが見つかるはずです。
ECサイト構築サービスなら自分でレイアウトしながらサポートが受けられます。
業務④商品登録(ささげ作業)
販売する商品をECサイトに登録します。ささげ作業ともいいます。
ささげ作業とは、撮影・採寸・原稿の頭文字をとった造語です。
ささげの質はユーザーの印象を左右するため、ECサイトの根幹を決める情報といえます。
ささげの中でも重要なのは撮影した画像です。画像が悪いとクリックしてくれません。鮮明でわかりやすい写真を登録してください。
少し手間がかかりますが、三脚や撮影ボックスを利用するとキレイに撮れます。心配なら外注もありです。
業務⑤集客
集客は最も難しい業務です。
広告が出せればいいのですが、アフィリエイト広告やSNS広告は高額であまりおすすめしません。
自社の商品をSNSで紹介したり、オウンドメディアを運営するのが経費的に現実的です。
SNSやオウンドメディア運用は成果が出るのに1年ほど時間がかかります。長期的に取り組める人を担当にしましょう。
継続してSNSやブログを更新できる人が適任です。
業務⑥受注管理
受注管理は出荷管理までおこないます。
具体的には受注管理業務は以下に紹介する5つの作業に分かれます。
- 注文確認
- 在庫確認
- 顧客へ返信メール
- 伝票作成
- 出荷指示
受注管理はヒューマンエラーが多い業務です。リストやcsv形式のデータを扱うことが多く、注文数が増えるとほぼ必ず小さなミスが出てきます。
システムを利用してできるだけ自動化を図るか、複数人で作業をチェックしてください。
業務⑦在庫管理
在庫数を確認し、個数の更新をおこないます。
複数のECサイトを運営したり、倉庫を利用したりすると在庫数のミスが増えます。
個数の更新と共有を必ず行うようにしてください。
その日の最後に更新するとミスが減ります。チェックリストをスプレットシートで作成しておきましょう。
業務⑧包装・配送
倉庫でピッキングし包装、配達業者に引き渡します。
配送業者自身がホームページで配送の手続きを紹介しているため、初心者でも困ることはないでしょう。
包装方法は製品によって変わりますが、以下の4つが必要です。
- 商品を入れるビニール袋
- 段ボールや封筒などの入れ物
- エアーキャップや新聞紙などの衝撃緩衝材
- マスキングテープ(段ボール使用時)
ECサイトによって提携している業者が異なります。必ず問い合わせてください。
包装は差別化のポイントです。メッセージやカタログなどを同封してリピーター獲得を目指しましょう。
業務⑨アフターフォロー
アフターフォローは販売後の対応全般を指します。
アフターフォロー以下の3つが当てはまります。
- カスタマーセンターによるサポート
- クーポンの発行・適用
- 購入者の評価をヒアリング
アフターフォローは顧客の満足度に直結するため、顧客の定着を図るなら力を注ぐべき業務です。
対応のスピードや正確さが顧客の満足度につながります。
業務⑩分析・解析
分析・解析は顧客データが集まってきた半年以降からおこないます。
ECサイトに訪れたユーザーの行動データを分析し、サービス改善に利用します。
分析よく使われるツールがgoogleアナリティクスです。無料で多くの機能が使えるため、ECサイトの専門家も長く愛用しています。
一方で、多機能であるが故使いこなせず断念する人も多いようです。
始めのころはサイトに訪れる人が少なく正確なデータが集まりません。クリック率も低いため、初心者はユーザー数だけを見るようにしてください。
後々勉強していけば使いこなせるようになります。
ECサイト運営の相場
ECサイトの運営費用は2つに分けられます。
- 構築費用
- 運営費用
それぞれ説明します。
①構築費用
構築時の費用は以下の通りです。
構築方法 | 初期費用 | 維持費用 | 手数料 | サーバー | 目安の年商 |
モール | 0~10万 | 安い | 高い | 不要 | 10万~ |
パッケージ | 100万~ | 高い | 安い | 必要 | 1~50億 |
オープンソース | 10万~ | 安い(自分で作る場合) | 安い | 必要 | 1億~ |
フルスクラッチ | 500万~ | 高い | 安い | 必要 | 30億~ |
ASP | 0~10万 | 安い | 安い | 不要 | 10万~ |
モールとASPでは、個人利用向けと中小企業向けのプランによって各金額が異なります。
利用する前に公式サイトをチェックするようにしてください。
②運営費用
運営費用は以下の通りです。
費用 | 想定される金額(月額) |
ECシステム利用料 | 1万円~ |
サーバーとドメイン費用 | 数百円~数万円 |
ECサイトのオプション利用料 | 数千円~数万円 |
メディア運用費用 | 数万円~ |
決済代行会社の契約料 | 契約料金+売り上げの3~5% |
梱包と配送費用 | 数千円/1回あたり |
商品撮影・画像編集費用 | 数万から数十万 |
人件費・コールセンター費用 | 数十万円/1人 |
ECサイトを構築する会社によって上記の費用が基本サービスに含まれることもあります。
ECサイト運営で重要な4つのスキル
ECサイト運営に重要なスキルは以下の4つです。
- 企画スキル
- マーケティングスキル
- クリエイティブスキル
- カスタマーサポートスキル
それぞれ詳しく説明します。
スキル①商品企画スキル
商品企画スキルとは市場のトレンドやニーズを商品に落とし込むスキル全般を指します。
需要のない商品を作り出してしまうと、どれだけいいアプローチをしても購入してもらえません。
商品企画では以下の能力が必要です。
- 狙っている市場を正確に調査する
- 売れる根拠を持って商品設計する
- 製品にするための計画をする
これらの能力はノウハウを勉強し実践、改善することで養われます。
セミナーに参加したり本を読んだりして、ノウハウを手に入れるところから始めましょう。
スキル②マーケティング
集客するスキルです。
マーケティングでは主に2つ方法を利用します。
- SEOで検索上位を目指す(オウンドメディア)
- SNSで興味のあるユーザーに投げかける(XやInstagram)
読者のニーズを汲み取り、悩みが自社商品で解決できると提示しましょう。
マーケティングは4つのスキルのうち、ノウハウを身に着けてから成果が出るまで最も時間がかかります。
焦らずコツコツと進めていきましょう。
スキル③クリエイティブスキル
クリエイティブスキルとは、ECサイトに必要な材料を作成する能力のことです。
以下のものが当てはまります。
- 写真撮影
- 広告
- サイトに表示するバナー
- ECサイトデザイン
始めはライバルサイトを参考にしてください(完全にまねするのはNG)。徐々にレベルアップしていきましょう。
スキル④カスタマーサポートスキル
お客様の対応をするスキルです。
カスタマーサポートスキルは幅広い知識が必要です。サポートスキルは4つに分けられます。
- 問い合わせに対応する商品知識
- 発送状況や入金情報などの正確な把握
- クレームの対応
- 商品が届いていないといったトラブルの対応
商品情報やトラブルの対応は企業の評価に直結します。マニュアルの完備や更新を怠らないようにしましょう。
ちなみに、ECサイトを導入すると問い合わせ数は10分の1くらいに減ります。
ECサイトでうまくいく5つのコツ
ECサイトで商品を購入してもらうには工夫が必要です。
具体的なコツは以下の5つです。
- まず売る商品を決める
- 相談できる相手を見つける
- 計画を作りこむ
- 長期間計画で取り組む
- 登録無料のASPで試運転する
それぞれ詳しく説明します。
コツ①まず売る商品を決める
最始に売る商品を決めましょう。
おさえておくべき要素
- 具体的な市場調査
- 誰に需要があるか特定
- 需要を満たす商品の計画
すでに売りたい商品があるなら「誰に需要があるのか」を考えます。ネットでは需要層が変わるかもしれません。
試しにモールやオークションなどで調査してください。調査した結果はレポートにして担当者に報告します。根拠があるデータから商品を作るなら大外れはしないはずです。
商品企画では誰かの役に立つ商品を考えるのがポイントです。ニーズとターゲットが固まりやすくなります。
コツ②相談できる相手を見つける
できるだけセミナーに参加して有識者の意見を取り入れてください。
ECサイトはビジネスです。やり方を知っているかで結果が大きく変わってきます。
セミナーはfutureshopが有名です。futureshopはECサイトの会社ですが契約してない人も参加できるセミナーを開催しています。
公式サイトから日程を確認し、参加しましょう。
契約と同時に運営をサポートしてくれる会社もあります。
コツ③計画を作りこむ
商品が決まったら、ユーザーに届けるまでをシミュレーションし計画を作りこみましょう。
作りこむとはいえ、精度は7割で十分です。それ以上は時間がかかりすぎます。
また、時間をかけたからと言ってそれほど大きく改善しません。
作りこむときのポイントは以下の4つです。
- 商品の仕入れ額または生産コストを調査する
- 仕入れる個数を決める
- 破棄するまたは売れ残る個数を調査する
- 見込める売上を月・年単位で大まかに算出する
商品はあまり多すぎてはいけません。売れるようになってから増産を考えましょう。
ヒューマンエラーやトラブル、仕入れ時の不良品などがあるため、利益は少し低く見積もった方がいいです。体感では3~5%ほどが多かったと思います。
コツ③長期間計画で取り組む
ECサイトは立ち上げただけでは売れません。集客にかなり手こずります。
ECサイトを運営し、利益が出るまでは平均3〜5年くらいかかります。半年〜1年は注文どころか、サイトに来てくれる人もいません。
大切なのは焦らずノウハウを吸収し実践すること。セミナーに参加したり、メンターがいるなら順調に成長できるはずです。
逆に、「1件でも売れればEC経験者の仲間入りなんだ」という心構えでスタートすると気が楽になります。そのほか、必要以上にライバルと比較しないこともポイントです。
コツ⑤登録が無料のASPで試運用する
相談できる相手がいないなら、ASPから始めましょう。
本格的なECサイトは物が売れるようになってからでもかまいません。
ASPをおすすめする理由は以下の4つです。
- 購買意欲が高いユーザーが集まる
- 登録が簡単で企業でも1週間ほどで開店できる
- ライバル企業の調査がしやすい
- 自社ECサイトはランニングコストがかかる
極論1つでも商品が売れればEC経験者といっていいレベルです。かなり難易度が高いですが、売れない状態から自力で商品を買ってもらうレベルまでいけば、最低限のノウハウが身についていると判断できます。
中古品を販売してもいい経験になります。
おすすめのセミナー
未経験者が勉強するならセミナー形式がおすすめです。セミナー1回で本1冊分以上の情報が吸収でき経験者にの意見が聞けるため、成果が早く上がります。
おすすめのセミナーはfutureshopのオープンセミナー(zoomによるウェビナー)です。誰でも参加でき無料で受講可能です。
futureshopについて気になる方は公式サイトから資料請求するといいでしょう。
まとめ
ECサイトは多くの業務があります。ひとつずつ焦らず積み重ねていけば必ず身に付きます。
セミナーに参加し勉強しながら成果を上げていってください。
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